座学と実務経験

座学の知識だけではダメだ、実務経験こそ大事なのだとよく言われる。

 

30代になって思うのは、座学せず実務経験だけを積み重ねているといつまでも自信がつかず、それが自分の強みを探す上で阻害要因になるということだ。

 

僕は20代の頃はITエンジニアとして働くことに嫌気がさし、一度エンジニアを辞めている。結局1年くらい放浪とした後またエンジニアに戻ったわけだが。。。

その時は食っていくために仕方なくやっていただけで、仕事にやりがいなんて感じられなかったし、ましてや家に帰ってから勉強なんてやってられなかった。

 

現場の仕事についていくのが精いっぱいで、その中で学ぶこと、つまり実務経験から学んでいた。当然、実務から学んでいるので現場の仕事はだんだんと覚えていく。仕事をする上では全く問題なかった。

 

別の現場に行ってもしばらくは実務から学ぶ姿勢は変えず、何不自由なくやってきた。が、そんな社会人生活を数年続けていて、ふと、自分の強みが分からない漠然とした不安がだんだんと大きくなっていくのを感じた。

 

実務というのは現場によってランダムに割り振られた仕事なのであって、もちろん自分のキャリアプランに沿ったスキルアップのために都合の良い仕事がやってくるわけではない。

 

A, B, Cのスキルがあったとして、何も考えず実務経験だけで叩き上げられたエンジニアはA=30点, B=20点, C=10点で、どれも自分の強みと言える点数にはなりにくいが、

伸ばすスキルを明確にしているエンジニアはBやCはそこそこに学び、A=80点を目指す。Aのスキルがあることが自分の強みとして自覚でき、それが心の支えとなってB,Cを学ぶときの推進力になる。

 

あと、実務経験というのはクローズドな”現場”という場において自分の”経験”から学んだことなので、世間一般的な知見と乖離がある場合がある。

別の現場で学んだことが次の現場で活きることもあるが、活かせないこともある。あの現場ではこうだったのに、なぜこの現場ではこうなるんだ。。。?と、現場ごとに違う文化を受け入れられないと成長は止まる。

かといって現場ごとの文化に合わせることに柔軟になりすぎると、何が正しいのか分からなくなり、自分の意見を持てない受け身なエンジニアに留まってしまう可能性がある。

 

実務経験をたっぷり積んだ後は、本などで一度体系的に学び直すべきなんだと思う。

体系的に学んだ一般的な知識が実務経験を裏付ける強力な根拠となり、それが自信につながる。自分の長年の勘とかに頼って生きていくこともできるのかもしれないが、たぶん孤立する。

 

結局、座学と経験はどっちも大事だという話に落ち着くわけだけど、それに気づくのが僕はかなり遅くなってしまった。

座学で学んだことは実務に生かそうとする姿勢を、実務で学んだことは一般的な考え方と比較して捉え直してみる姿勢でいることが大事なのだと思う。